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ハワード・マークス氏:割高・割安はその程度問題が重要

今回は、普段の経済指標や金利のウォッチとは少し趣きを変えて、TALKS AT GSにパネル出演した際の内容から、ハワード・マークス氏の投資に関する教えを学んでいきたいと思います。

マークス氏自身はバリュー投資家であることから、マーケットの先行きを読んで投資をするということはしていませんが、長年に渡ってマーケットを見てきた経験から、割高・割安には程度問題があり、その程度が重要であるという教えを述べました。

割安・割高の程度が極端であるほど、その修正は起こりやすい


マークス氏の述べたポイントは、割高・割安の程度が少しであれば、まだフェアバリューへの修正が起こらない可能性は高く、割高・割安の程度が極端に大きいほど、フェアバリューへの修正が起こる可能性は高いというものです。

例えば、次の6ヶ月で市場価格が下がる可能性はどのくらいあるだろう?と訊いたとしよう。もし今の市場価格が極端に高いのであれば、私の考えでは100%ということはありえないので、95%の確率で下がるとしよう。今の市場価格がそこまで極端ではないけれど高いのであれば、75%の確率で下がるかもしれない。ほんの少し割高なだけであれば、55%くらいだろう。

これを読むと「そんなの当たり前ではないか」と思うかもしれませんが、実際には多くの投資家は少し割高・少し割安というものに平気で投資して、明日にでもそのバリューが修正されることを期待します。

ミスをしがちなのは、価格が割高であることと明日下がることを同義だと考えることだ。割高な市場価格は、多くの場合、そのままさらに割高な水準へと進んでいくものだ。(中略)だから、私たちは上昇相場、ブル相場、バブルという異なる言葉を持っているではないか。

もしも市場が本当に効率的で、フェアバリューとの少しの乖離がすぐに修正されるのであれば、そもそもバブルなんて状況は存在しないはずです。バブルとは、少しの乖離が修正されずに、そのまま乖離が拡大していった結果だからです。

投資妙味がないときは極端なポジションを取らない


大きな割安・大きな割高があるときは、その先は読みやすいし、リターンも得やすいです。つまり、投資妙味があるということです。一方、小さな割安・小さな割高しかないときは、その先は読みにくいし、リターンの幅も小さくなります。つまり投資妙味はないのです。

しかし、多くのトレーダーは決まった目標リターンを確保するために、小さな割安・小さな割高しかないときほど往々にして極端なポジションを取ります。リターンの幅が小さいために、ポジションサイズを大きくして、時にはレバレッジまで掛けることもあります。

しかし、本来行わなければいけないのは、その逆の行動です。小さな割安・小さな割高しかないときほど、極端なポジションを取らずに、上昇にも下落にも対応できるようなバランスの良いポートフォリオにすべきなのです。

もしくは、他に極端に割高・割安になっている資産クラスや銘柄がないかを探しにいくことが大切です。株式が少し割高な程度であれば、無理をして株式のショートポジションを取る必要はありません。他の資産クラスを探しに行けばよいのです。

結論


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