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4月のISM製造業景況指数はスタグフレーション的な再加速

5月1日に発表された2023年4月のISM製造業景況指数は、雇用や価格インフレの影響で再加速しました。一方で、注文や在庫は減少しており、企業活動は縮小されていることが分かりました。

再加速した4月のISM製造業景況指数


2023年4月のISM製造業景況指数は、予想の46.7を上回る47.1でした。前回の46.3からは0.8ポイントの増加となりました。

ISM製造業景況指数の推移(過去5年)/ Trading Economics

とはいえ、相変わらず、50を下回っていますし、下落トレンドにあることに変わりはありません。また、前回同様に依然として新型コロナ前後の水準にあります。全体として、景気が強いというわけでは決してありません。

雇用と価格インフレによる再加速


続いて、内訳を見ておきましょう。

ISM製造業景況指数の内訳(2023年4月分)/ ISM

前月からみると、雇用(Employment)が+3.3ポイントで50.2と再び50の水準を超えています。それから、価格(Prices)も+4.0ポイントで53.2と50を超えています。

一方で、注文残(Backlog of Orders)や在庫残(Inventories)は、それぞれ-0.8ポイント・-1.2ポイント、と減速していることから、経済活動自体は縮小に入っていることが分かります。

スタグフレーション的な側面が強まる米国経済


今回のISM製造業景況指数は、雇用の逼迫や価格インフレといった額面の名目成長は見られるものの、注文や在庫といった実質的な経済活動は縮小しており、スタグフレーション的な側面が見られた数値だといえるでしょう。

FEDは、企業の経済活動への責任は負っておらず、失業率さえ上昇しない限りは、物価の安定が最優先のミッションです。そのため、今回のISM製造業景況指数は金融の引き締めが長期化する方向に寄与するでしょう。

米国2年国債金利をみると、それを織り込むような形で、先週末には4%近くで推移していた金利が4.12%程度まで上昇しています。

米国2年国債金利(2023年5月2日執筆時点)/ Investing.com

実質的な経済活動が減速する中で、金利も高いままで推移するのであれば、目先で株式に強気になれる要素はあまり見当たりません。

結論:ポートフォリオは小さめを維持する


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