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レイ・ダリオ氏:金融市場の信用収縮を受けて、FRBは1年以内に金融緩和を再開する

レイ・ダリオ氏がLinkedInの投稿で、シリコンバレー銀行等の経営破綻を受けた今後の流れを予想しています。

ダリオ氏は、シリコンバレー銀行等の一部の銀行の破綻はまだ信用収縮の始まりに過ぎず、今後さらに信用収縮が拡大すると考えていることを示しました。また、それに対応するためにFRBは金融緩和を再開し、ドルの価値は下落すると考えています。

シリコンバレー銀行等の経営破綻から信用収縮が始まる


シリコンバレー銀行が経営破綻してから、1週間以上が経ちました。

レイ・ダリオ氏は、このような経営破綻は約7年サイクルで起こる短期債務サイクルの終盤に見られる典型的なものだとしており、シリコンバレー銀行等の一部の経営破綻だけでは終わらないという考えを示しています。

a) 私たちはこのサイクルの縮小段階の初期段階にあり、b) レバレッジをかけた資産の長期保有の量が多いため、この銀行の破綻に続いて、経済の縮小段階の前にさらに多くの問題が発生する可能性があります。

こうしたサイクルがシリコンバレー銀行だけで終わらないのは、資産価格の下落による悪影響が連鎖するからです。例えば、シリコンバレー銀行の預金者のお金は全額保護されますが、その他の債権者や株主は保護されません。

すると、シリコンバレー銀行の債券や株式を持っていた投資家は大きく損をします。そうした投資家も、他の投資家から投資や融資を受けていますから、損をしたとなれば資金を引き上げられてしまいます。資金の引き上げに対応するためには、他の資産を売ったり、融資を渋って現金を保有しておく必要があります。こうして、売りが売りを呼んだり、貸し渋りが起こります。

金利が上昇して資金が逼迫すると、資産の価値が下落し、債務者、債権者、資産保有者、および金融仲介機関は、お金が必要なときに他の資産を売却し、債権者が打撃を受けると貸出を削減するため、自己強化的な収縮と伝染を引き起こします

このあたりの信用収縮の連鎖については、以下のニュースレターでもレナー社CEOの懸念を紹介してきました。

最終的にはFRBが金融緩和を行う


では、この信用収縮はどこまで続くのかというと、信用収縮が金融・経済システムを脅かすようになるまで続くというのがダリオ氏の観察です。信用収縮がシステムを脅かす水準にまで達すると、FRBが金融緩和や資金提供を行うため、そこでようやく信用の収縮が収まるというわけです。

最終的に、5)Fedは金融緩和を行い、銀行規制者は資金やクレジットや保証を提供するだろう。なぜなら、この問題がシステムを脅かすようになるからだ。信用の収縮への転換が始まった現時点でFedが金融緩和に転じるのはまだ早すぎるが、(金融を緩和しないことによるデメリットとの)トレードオフが厳しくなるにつれて、私はFedをさらに緻密に観察するようになるだろう。

現在、債券市場はFRBが6月に利下げ(金融緩和)に転じると予想しています。信用収縮が金融・経済システムに重大な影響を及ぼすまでに3ヶ月ほど掛かると考えているのでしょう。

ガンドラック氏は、3月で利上げは打ち止めになると考えていますが、景気後退に陥るのは7月頃を予想しています。

おおむね、6月〜7月頃に景気後退が実態として見えてきて、FRBが緩和的に転じるというのがコンセンサスになりつつあるようです。

ドルは下落する


レイ・ダリオ氏は、利下げだけでなく量的緩和の再開も考慮に入れるべきだとしており、それによってドルの価値が大幅に下落する、つまりインフレ第二波を予言しています。

人々は現在、次の利下げとFRBの量的緩和について考えていませんが、これらのタイミングはおそらく約1年以内であり、それは大きな影響を与えるため、考えておくべきです。現金の価値が大幅に下落する可能性は十分にあると思います。

ダリオ氏は「人々はまだ量的緩和について考えていない」としていますが、直近のゴールドやビットコインの上昇を見ていると、法定通貨からの逃避は始まっていると思います。

金ETF($GLD)の価格推移(2023年3月21日執筆時点) / Google
ビットコイン価格推移(2023年3月21日執筆時点)/ Google

結論:ゴールドに投資妙味


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