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ガンドラック氏:米国人口の74%は雇用減に面しており、地域では景気後退が始まっている

ガンドラック氏は、自身の経営するDoubleLine Capitalのオンラインセミナーにおいて、米国の雇用統計は全米の実態を表していないと述べました。

雇用統計だけを見ていると、失業率は低いし、まだ雇用も増えているように見えます。実際、本ニュースレターにおいても、景気後退への警戒は必要なものの、雇用はまだ堅調だということをお伝えしてきました。

しかし、個別の実態を見ていくと、異なる様相が見えてくるとガンドラック氏は指摘しています。それは一部の州が強烈に雇用状況を引き上げているものの、全米でみると、すでに多くの州では失業が増加しているというものです。

失業率が12ヶ月平均を上回ると景気後退入りする


ガンドラック氏は、以下のニュースレターでも紹介したように、以前から失業率が12ヶ月平均を上回ると景気後退入りすることを指摘してきました。

上のニュースレターでも書いた通り、足元の失業率は3.5%という低水準で、12ヶ月移動平均は3.64%です。そのため、失業率が3.64%を大きく超えてきたら、いよいよ景気後退入りだということになります。

米国失業率の推移(2023年3月18日執筆時点)/ FRED

しかし、これはあくまでも米国全体の数値です。ガンドラック氏は、さらに個別の州ごとに見た場合には、すでに失業率の上昇が始まっていることを指摘します。

既に過半数の州で景気後退が始まっている


ガンドラック氏は、以下のように述べています。

ダニエル・ディマルチーノ・ブースはウェブキャストの中で雇用が失われている州を取り出すと、すでに過半数を超えていると指摘していた。だから、統合されたデータでは雇用が明らかに強いように見えるが、州によって違いがあるということになる。そして、私が興味深いと思ったのは、彼女が示した、米国人口の74%はそれらの雇用が失われている州に住んでいるという事実だった。つまり、水面化の状況は、雇用統計の低い失業率が示すほど強くないといえる。

つまり、一部の景気が良い州が米国全体の数値を引き上げているけれど、米国市民の7割はすでに景気悪化で失業率の上昇が始まっている地域、言い換えると景気後退が始まっている地域に住んでいるということになります。

先日もニューヨークから一時帰国していた友人に会って話をしましたが、ニューヨークの景気はめちゃめちゃに良いようです。しかし、それはあくまでもニューヨークという大都市の話であり、全米の話ではないということでしょう。

地方経済の担い手である地銀の株価は暴落中


目下、地銀の株価が下がっており、地銀の貸し渋りなどが地域に波及しないかどうか注意が必要だということを、先日のニュースレターで紹介しました。

地銀ETF($IAT)の株価推移(2023年3月18日執筆時点)/ Google

改めて長期のチャートを見てみると、地銀の株価の落ち方は、2020年の新型コロナショックの始まりと同じ勢いです。

こうしたデータを総合的にみると、ガンドラック氏のいうように、全米の多くの地域では景気後退が始まっているというのは、ある程度の納得感を持って受け入れることができる指摘です。

結論


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