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ガンドラック氏:1年後の金利・株価・為替・原油・btcの価格を予想

前回紹介した、UBSの主催したガンドラック氏のオンラインインタビューですが、最後に余興として、ガンドラック氏に即答で1年後の価格予想、5年後の経済指標予想をしてもらうというコーナーがありました。

大切なのは、その背景にある考え方を知ることであり、価格や数値予想自体はあくまでも余興に過ぎませんが、せっかくなので紹介しておきたいと思います。

1年後の各種資産の価格予想


まずは、1年後の価格予想からです。インタビュワーが2つの数字を示して、どちらに近くなっていると予想するかをガンドラック氏が答えるという形式になっています。

  • 米国10年国債金利は、3%か4%か:
    3%
  • S&P500は、$3,000か$4,500か:
    どちらも遠いと思うが、低い方
  • 原油は、$60か$100か:
    $100
  • ユーロは、$0.95か$1.15か:
    $1.15
  • ビットコインは、$8,000か$25,000か:
    $8,000

まず、米国金利については、インフレ率が数ヶ月後には前年比+4%程度まで下がっているというのがガンドラック氏の予想です。5%に満たない金利でもインフレ率は9%から6%台まで下がってきましたし、経済弱体化の指標もあちこちで散見されることから、金利は3%もあれば十分ということでしょう。

S&P500については、$3,000と$4,500では少しレンジが広すぎるということで、どちらも遠いと思うと述べていましたが、どちらかというと低い方を選ぶとのことでした。ガンドラック氏のメインシナリオはインフレ率が前年比+4%からは下げ渋るというものなので、長期金利は2%以下に下がっていくというのは考えにくく、景気後退も予想されることから、あまり米国株の株価が上がるとは考えづらいということでしょう。

原油は、現在$80ドル程度ですが、どちらかというと$100になる方を予想するとのこと。インフレ率が前年比+4%程度で推移するということであれば、原油価格も今の価格よりはどちらかというと上だということになるでしょう。債券市場が予想している前年比+2%といった水準までインフレ率が下がらないのであれば、コモディティは投資妙味がありそうです。

ユーロは、$1.15に近くなるという予想でした。ユーロに強気というよりは、インフレが落ち着いて、利下げが行われる結果、ドル安になるという受け取り方が正しいでしょう。実際、ドル指数は昨年の10月にピークをつけたあと、下落を続けています。

米ドル指数先物(2023年1月26日時点)/ Investing.com

今回、唯一意外だったのがビットコイン価格の予想です。ガンドラック氏は、コモディティと同じく強気というよりは、株式と同じようにビットコインが下落することを予想し、$8,000に近くなるだろうと述べています。このインタビューが行われた年初のあと、ビットコインは暴騰しており、すでに$25,000に近い領域まで上昇しているため、個人的にはビットコインについてはドル安の恩恵を受けて上を意識して良いのではないかと思います。

ビットコイン価格(2023年1月26日時点)/ Investing.com

5年後の各種経済指標予想


続いて、ガンドラック氏による5年後の各種経済指標の予想について見ていきたいと思います。

  • 米国とヨーロッパのインフレ率は2%以下か:
    いいえ
  • 中国の成長率は3%以上か:
    いいえ
  • 主要中央銀行は金融緩和を実施するか:
    はい
  • 新興国は成熟国よりも高いリターンをもたらすか:
    確実にはい
  • イタリアの債務危機が訪れるか:
    いいえ、ただし起こるならイタリアの債務危機では済まない

上でも書いた通り、ガンドラック氏のメインシナリオは、景気後退によって金利が低下するため、それが物価を刺激してしまい、インフレ率は前年比+4%程度で下げ止まるというものです。5年後のインフレ率予想も、それに沿ったものとなっています。

中国については、ガンドラック氏は弱気です。米中の対立が中国経済に悪い影響を及ぼすというのがガンドラック氏の見立てです。なお、個人的には、ポートフォリオの数%程度ですが中国テック株をロングでトレードしています。これは、中国の金融緩和や財政出動がテック株の上昇に繋がると素直に考えているからです。

主要な中央銀行が金融緩和を実施するかどうかについては、ガンドラック氏はかなり前のめりに「はい」と答えており、金融緩和の再開を確信しているようです。それがドル安になるという見立てに繋がっています。新興国が成熟国よりも高いリターンをもたらすという点についても、新興国の株式が割安に放置されてきたこともありますが、ドル安も大きな理由といえるでしょう。

最後にイタリアの債務危機ですが、これは起こらないだろうということでした。一方、日本については「80階から飛び降りて、まだ地面にぶつかっていないだけ」と酷評しています。

結論


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