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2月のケースシラー住宅価格指数は下げ渋りを見せた

2023年4月25日に、2023年2月分のケースシラー住宅価格指数が発表されました。

予想は前年比-0.05%でしたが、結果は+0.36%で予想を上回りました。また、前月比では8ヶ月ぶりにプラスに転じて、下げ渋りを見せました。

前年比のインフレ率は順調に低下


以下は、ケースシラー住宅価格指数の前年比の推移です。

ケースシラー住宅価格指数(前年比・2023年2月まで)/ FRED

前年比でのインフレ率は順調に減速しており、次回からはマイナス圏に入る、つまり前年比で住宅価格がデフレに入ることが予想されます。少なくとも今後半年くらい(2023年3月分〜2023年9月分)の間、住宅価格は前年比でデフレとなるでしょう。

ケースシラー住宅価格指数の前年比がマイナス圏に入るのは、上のグラフからも分かる通り、2012年以来のことです。6月以降はエネルギーのデフレ効果が剥げ落ちていきますが、住宅価格のデフレがしばらくはインフレ率を抑える形となるでしょう。

前月比では下げ渋りを見せた


一方で、今回気になったのは、1月分からわずかに反発して下げ渋りを見せたことです。

ケースシラー住宅価格指数(2023年2月分まで)/ FRED

ケースシラー住宅価格指数は前月比で+0.05%となり、前月比は8ヶ月ぶりに上昇しました。

ケースシラー住宅価格指数(前月比・2023年2月分まで)/ FRED

先日、米国の経済指標を総点検したニュースレターの中では、コモディティが下げ渋りを見せる中で、住宅価格はデフレが続いていると書きましたが、住宅価格もそろそろ下げ渋りが見られるようになってきました。

これは2月の数字であるため、3月移行のシリコンバレー銀行の経営破綻に端を発する混乱の影響はまだ反映されていません。また、ふり返ってみれば、2月は以下のニュースレターでも書いていたようにインフレ長期化が警戒されていた時期でした。そのため、今回を過ぎれば、3月分からもう一段階、価格が下がる始める可能性も勿論あります。

しかし、もしもこのまま下げ渋りが続いた場合、今年の後半は、時期が進むにつれて、インフレのしつこさが改めて意識されるようになるでしょう。景気後退とインフレが同時に存在するスタグフレーションの可能性は高まっているといえそうです。

一段とインフレ減速が見られない限り、長期金利は簡単には下がらない


さらに、現在の長期金利の水準も確認しておきたいと思います。

米国10年国債金利(2023年4月26日執筆時点)/ Investing,com-

今の長期金利は3.39%であり、ここ数ヶ月の底値水準にすでに達しています。

長期的なトレンドとしては金利はさらに下がる方向だと思いますが、目先の数ヶ月については、一段とインフレの減速が見られない限り、長期金利がどんどん下がっていくということは考えにくいでしょう。どちらかというと、インフレの長期化や再燃が意識された場合は、いくらか反発して上昇する可能性もあります。

結論:今年後半は楽観視できない


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