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ガンドラック氏:これ以上の利上げはない

今回は、直近ベア派の筆頭格になりつつある債券王ガンドラック氏のFOMCに対するコメントをお伝えします。

なお、ガンドラック氏は、インフレを早い段階から警告しており、その後、今年のインフレ減速をピタリと当ててきました。一方で、FEDのFF金利については、5%を超えることはないと過去に発言しており、それについては外れています。

FEDは経済の先行きを予想できない


今回のFOMCは鷹派だというのが一般認識ですが、それについて問われたガンドラック氏は、鷹派ではなかったと回答しました。

言葉遣いは鷹派だったが、行動は利上げの停止であり、鷹派ではなかった。FEDは近眼のマグーのようになっているように見える。前回のミーティングは利上げだが鳩派であり、今回は鷹派の利上げ停止だ。7月のミーティングではどうなるか見ものだ。

ガンドラック氏は、FEDの言っていることと実際の行動がちぐはぐであることを指摘しています。FEDは本音では利上げをせずに様子を見たいと思っているであろうことは、先日のニュースレターで僕も指摘していました。

さらに、ガンドラック氏はFEDが経済の先行きを予想することが苦手だということを指摘します。

みんなに思い出してほしいのは、FEDはFF金利がどういう水準になるかを予想するのが、ずっと苦手だったということだ。

実際、インフレを早い段階で抑えていれば、今のような状況にはなりませんでした。それを「このインフレは一時的だから、いずれ終わる」と見過ごしていたたために、インフレが加速して、FF金利を5.25%まで上げる必要性が生じたわけです。

2年前には、FEDメンバーのドットプロットの中央値は、2023年末のFF金利として0.50%-0.75%を予想していた。だから、4.50%も外れていたことになる。利上げを続ければ、さらに外れることになる。だが、私はこれ以上の利上げがあるとは思わない。

FEDの中には、ガンドラック氏と同じように米国が景気後退に向かい、FF金利が引き下げられると予想するメンバーも出てきています。

FEDのメンバーは何人かがFF金利は5.00%以上の期間が長く続くと予想しており、数人のメンバーは2.50%程度まで落ちると考えている。数回前のFOMCでは、パウエル議長はFEDメンバーの意見を統一することに成功していたが、今はまた乱れているようだ。

米国経済は強くない


ガンドラック氏が利上げ終了を予想する理由は、いくつもの経済指標が景気後退的な水準を示していることにあります。

経済が強いという話が理解できない。いくつもの経済指標が深い景気後退に近い水準にある。

本ニュースレターでも、いくつかの景気後退水準にある経済指標をたびたび紹介してきました。

また、最後まで強い経済指標として、僕が「まだ高金利の維持が必要だ」としたのは雇用統計です。

しかし、これについてもガンドラック氏は「決して強い数字ではなかった」としています。

人々は何ヶ月も予想を超えてきたので雇用市場が強いというが、最も最近の雇用統計は決して強くなかった。新規就業数は強かったが、1人あたりの労働時間は著しく減少した。それらを掛け合わせると、経済的な仕事量が計算できる。新規就業は強かったが、労働時間はそれ以上に減少しており、これらの積を計算すると、雇用が減ったことになる。

仕事の総量が、就業者数 × 1人あたりの仕事時間で決まるとすれば、前者は伸びているものの、後者は減っているとのこと。

雇用者は、新型コロナで労働者を解雇したあと、新型コロナが終わって経済活動が再開されたときに、雇用者の確保に苦労したという経緯があります。そのため、今後の景気後退に備えるにおいても、労働者を解雇はせずに、労働時間を絞ることで様子を見ているのでしょう。

こうした経済指標の悪化を受けても、利上げをやめようとしないFEDについて、ガンドラック氏はインフレが起こっているのに「一時的だ」として利上げをしなかった過去のFEDと本質的に同じことだと指摘します。

なぜFEDは、1年前と同じ過ちを繰り返してるのか理解に苦しむ。彼らは更新頻度の高いデータを見ていない。
更新頻度の高いデータを見ると、経済はとても悪い。M2は前年比で何十年も見たことがないほど落ち込んでいる。経済先行指標は過去6ヶ月を年率換算すると-8%だ。イールドカーブは1.00%の逆イールドになっている。ISMの新規注文は深い景気後退の水準だ。ISM製造業景況指数は非常に悪いし、ISMサービス業景況指数ですら50.3%まで下がっている。強い経済指標を見つける方が難しいし、それが雇用だという人もいるが、失業率は過去12ヶ月の移動平均を上回った。
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結論:米国長期債でのリスクヘッジ


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