米国長期金利は4%近い水準、米国債の買い増しを開始
直近のインフレ長期化の懸念を受けて、米国長期金利は3.947%と4%に近い水準となっています。これは昨年の11月近い水準であり、投資妙味があると考えたため、少しずつ米国債の買い増しを開始しました。
インフレ長期化懸念から、米国長期金利は4%近い水準に
直近、米国経済が強いことを示す雇用統計などの経済指標が相次いでいることを受けて、インフレが長期化するという懸念が高まっています。インフレが長期化するのであれば、FRBの金融引き締めも長引くため、金利が上昇して、株価や債券価格は下落に見舞われています。
この辺りについては、連日、本ニュースレターでもお伝えしてきた通りです。
- サマーズ氏:現在の水準からのインフレ減速は困難
- 下げ渋りをみせた米国PPIと3.9%に達した米国長期金利
- アメリカの消費者物価指数は1月も順調に低下したが、今後に注目
- 2023年2月発表の米国雇用統計は予想を大幅に上回るも、賃金インフレは低下中
米国長期金利は、先週の2月24日(金)には3.947%という4%近い水準まで上昇しました。

これは昨年12月の金利上昇時の水準を上回っており、昨年10月〜11月頃につけた4%超えの水準に迫りつつあります。また、長期金利の推移がダブルボトムのような形をしていることから、先高感も警戒されています。
こうした金利の上昇を予想して、2月上旬頃から、目先はリスク(特に米国株ポジション)を小さめにして資産を守ることを重視した投資戦略を取ることを繰り返しお伝えしてきました。
- 株式ポジションは小さめに、休むも相場
- 目先はインフレの長期化を意識した金利上昇リスク、長期では景気後退リスクに備える
- 景気後退が今年の後半以降であれば、インフレ対策で株式ショート取引が必要か
- レイ・ダリオ氏:現金はゴミではなくなった
一方、同時に投資妙味が出てきたら債券を購入するということも、繰り返し書いてきた通りです。
米国債の買い増しを開始
今回、米国長期金利が4%近い水準に達したということで、債券の買い増しを開始しました。
具体的には、金利上昇を受けて、ポートフォリオの40%程度まで下がってきた債券の割合を50%程度にまで増やしました。金利の低下を株式ではなく債券で取るというのが今年のメインの投資戦略なので、今後、株式を一部処分して、債券をさらに買い増すということも考えています。
本ニュースレターでは投資適格社債に投資妙味があると書いてきましたが、今回買い増したのは、超長期国債のレバレッジETFである$TMFになります。

レバレッジETFをわざわざ用いてポジションを取っているのは、今年の大きなトレンドとして、米国における利上げの終わりに加えて、それに伴う米ドル安を予想しているためです。
単純化して説明すると、3倍のレバレッジが掛かっているのであれば、金額としては3分の1で済みます。レバレッジの掛かっていない$TLTを3ドル分買う代わりに、$TMFを1ドル分で済ませられるのであれば、ドル建てのエクスポージャーを3分の1にして、ドル安への耐性をつけることができます。
投資適格社債にはレバレッジETFがないため、今のところはレバレッジETFのある超長期国債の方を優先して購入することにしました。
結論
超長期金利が4%近いのであれば投資妙味があるだろうということで、債券の買い増しを開始しましたが、依然として目先の金利上昇リスクは残っています。
しかし、長期では米国金利が下がると考えているため、この辺りの水準からは、ゆったりと構えて、少しずつ買い増しをしていこうと思います。というのも、今の金利水準が長期にわたって続くことに米国経済が耐えられるかどうかについては、疑問が残るからです。
例えば、先日はクレジットカードの延滞率が上昇していることをお伝えしました。過去にはガンドラック氏による「ハイイールド債のデフォルト率が上昇する」という予想も紹介しています。
また、あまり注目されていませんが、中古住宅販売件数は新型コロナ期やリーマンショック後くらいの水準まで低下しており、住宅ローン金利の高騰を背景に、住宅市場は停滞してしまっています。

負債バブルが弾けたリーマンショックや、世界が不安に襲われたコロナショックと比べると、単に「住宅ローン金利が高すぎて、新しく家を買えない」というだけの理由なので、単に経済危機並みに中古住宅販売件数が減っているからどうだという話ではありません。
しかし、こうした状態が続くのであれば、少なくとも不動産業界は不景気に陥り、それは社会全体にも徐々に影響を与え始めるでしょう。そうなれば、米国金利は再度低下を始めると思います。
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